メモの魔力
前田裕二
幻冬舎
題名はメモの魔力で
たしかにメモのとりかたにも言及していますが
メモ術の本であり
思考法の本で
アイデア術の本で
アイデアの生み出し方はもちろんや思考の増やし方、更には著者の原点であるメモにいたる生い立ち的な部分、そして人に話すのには少々躊躇があったであろう自身のコンプレックスのような部分にまで触れられています。
文章にしてしまった後は簡単な話であるのかもしれませんが、著書に記述するまでには相当の勇気を要したのではないかと察します。
著者の前田裕二氏はその柔らかい物腰などや人当たり、言葉の節々に見えたりする愛情深い一面が見える一方で、それとは裏腹に別な場面で語られている、自分が寝ている間にライバルがバットを振るという発言の中の貪欲な努力家としての側面や、メモを武器にしたその観察眼と分析力に圧倒されます。
著者自身はメモは生きることと言う通り、もっと包括的な意味合いで書かれている一冊で、通常のメモと一線を画するメモなのが著者のメモ術であるといえます。
従来のメモというのは
- 忘れてもいいためツール
- 忘れないためのツール
- 記録して後で思い出すためのツール
こういった意味合いが強い場合が多いのですが、
今回の著者である前田裕二氏のそれは、従来のメモとは一線を画するもので、記録や記憶もさることながら、それに付随する思考や知的生産のためのツールであるといえます。
従来のメモ術で可能な記録や記憶というタスクは、実は今の時代においてはスマホの機能で十分代替可能な側面があり、別にメモするほどのことではなかったりするのです。
実際にボイスメモやカメラで事足りることが多く、メモはわざわざ書くというその裏側には思考というプロセスが伴い、知的生産における新たなアイデアや付加価値、つまりスマホなどのIT機器には出来ない人間の仕事というものが存在していて、スマホの仕事と人間の仕事という棲み分けが必要であるという風に読み取ることが出来るわけです。
人間の脳には人間にしか出来ない仕事しかさせないという意味で、著者のメモ術というのは知的生産には非常に有効であると思います。
著者が考えたことや
疑問に思ったことなどを
深く掘り下げていく
視点は高い抽象度を保ちつつ
思考は深く掘り下げるということですね。
あらゆる事象にhowとwhyの目を向けて印象は印象のまま終わらせずに言語にする姿勢と熱量に圧倒されます。
文中には、ファクト・抽象化・転用と著者のメモや思考の核的な要素を例とともにトレースすることが出来るので、読むだけで賢くなれるような錯覚に陥るのが本当これもある意味魔力だったりするのですが、この辺は単純に僕の努力次第であります。
本書で公開されているメモの手法をトレースすることで、
著者の思考方法や知的生産術までもトレースすることが可能なように出来ていると思います。
- ファクト
- 抽象化
- 転用
こういったフレームワークの使い方が本書を読んで実践することで身につくように出来ています。
これによって毎日がアイデアの泉になるといっても過言ではありませんね。
僕のようなプロ凡人が語るのもおこがましい話ですが、思考プロセスのモデルとしてかなり優秀で汎用性抜群なのです。
一読と言わず二読三読の価値がある一方で、流行り物を好まない層の方もほとぼりが冷めてからでもいいのでおすすめしたい本であると思います。
巻末の自己分析1000問は著者が自分の指針を発見するために自己と向き合った膨大なノートを元に作られており、この自己分析をトレースすることで読者が今後力を全力で注ぐべき人生の方向性を見つけるヒントになるのではないでしょうか。
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