なぜ乳酸の中和に重曹(重炭酸ナトリウム)なのか? 研究結果と分解のメカニズム

なぜ乳酸の中和に 重曹(重炭酸ナトリウム) なのか? 研究結果と分解のメカニズム

こんにちは。

今回は、

なぜ乳酸の中和に重曹(重炭酸ナトリウム)? 研究結果と分解のメカニズム

というテーマです。

どういうことかというと、

以前、サイクリストの本を読んでいて、乳酸の中和に重曹を飲むということが書いてあったのがきっかけでした。

世界最高のサイクリストたちの
ロードバイク・トレーニング
ツール・ド・フランスの科学

ジェイムズ・ウィッツ著/西薗良太監訳





乳酸の中和に重曹、つまり重炭酸ナトリウムをスポーツ用のサプリメントとして使用するのは1930年代から記録があります。

運動中の乳酸の許容量が増える

なぜパワー系の高強度スポーツで重曹が用いられるのでしょうか。

ひとことでいうと、 運動中の乳酸の許容量が増えることで

より高い強度の運動を連続して継続することが可能に、つまりより長い時間、大きなパワーを出し続けることが出来るようになるということです。

ケーキなどのお菓子作りや、最近ではお掃除にも使われるようになり、スーパーの製菓材コーナーから、ホームセンターのお掃除コーナーにまで幅広く取扱いがされている重炭酸ナトリウム。

炭酸水素ナトリウムとも重炭酸ソーダとも呼ばれています。

このお菓子作りからお掃除まで、用途の幅広い重曹がなぜパワー系の高強度スポーツにスポーツ用サプリメントとして使用されて、効果を発揮するメカニズムについて同書では説明されています。

高強度の運動の継続と乳酸

高強度での運動を続けていると、無酸素運動状態になり、嫌気的エネルギーの生産プロセスによって乳酸が副産物として発生します。

有名な話ですが、以前は乳酸は単純に疲労物質として認識されていましたが、現在では分解して再利用することの出来るエネルギー源として認識されています。

しかし、エネルギーの生産プロセスにおいて、乳酸の分解とエネルギーとしての再利用に対して、乳酸の発生が上回ってしまうと、筋肉から血液中に乳酸があふれ出し、血液の酸性度が上昇します。

これは特別なことではなく、ランニングなどでも同様のことが起こっています。

このように、血中の乳酸濃度が上昇すると、脳がそれを感知して筋肉に高い出力のアウトプットをやめるよう命令を出します。

高強度のランニングを長時間継続できないのはこういうことです。

乳酸への重曹の中和効果と実験結果

ここで重曹の出番です。

お菓子作りとお掃除の友である重曹が、この状況で何をするのかというと、継続する高強度の運動であふれ出す酸性の乳酸を中和します。

重曹水溶液はアルカリ性だからです。

赤色リトマス紙が青くなり、BTB溶液も青くなります。
自分でやった記憶はもうありませんが、念のためさっきググったら青くなるそうです。

理論上、酸性とアルカリ性なので中和されるので、選手はより長い時間、より高強度の運動をすることができるということになります。

これが単なる民間療法ではなく、プロの自転車選手が重炭酸ナトリウム(重曹)を使用することの有用性は、研究の結果によって裏付けられているとのことです。

2013年に行なわれた、スイスのチューリッヒの人体動作研究所で

  • 自転車選手とトライアスロン選手の合計8名が
  • 体重1kgあたり0.3gの重曹またはプラセボの条件で
  • 服用から90分後にクリティカルパワー・テスト
  • 5日間にわたり毎日実施

という研究が行なわれました。

結果、プラセボに比べて重曹を摂取した群の選手のクリティカルパワーにおけるアウトプットが23.5%の伸び率を示したというものです。

23.5%というのは驚異的な伸びらしいのですが、サイクリストの方には分かると思うのですがランナーにはいまいちピンとこないかもしれません。

クリティカルパワー・テストというのは一定時間維持できる平均パワーの最大値を計測するというもので、クリティカルパワーというのはワット数で表されます。

この研究の結果によると、平均して669秒から826.5秒に延びたとあるので、重曹による乳酸の中和効果で、アウトプット時間が延びたということになります。

つまり、理論通りに高い出力をより長く発揮することができたということです。

しかも、5日とも同様の結果が出たということで、重炭酸ナトリウムの摂取による乳酸の中和効果での高出力時間が延びるという効果は、1回きりのものではなく、複数回にわたり効果があるということも分かります。

乳酸摂取によるデメリットもある

ただし、胃の不快感や吐き気などの副作用が出る可能性があるとしています。

重曹を飲んだとき、胃の中で胃酸と反応することになりますが、胃酸には塩酸が含まれているために、急速に分解し二酸化炭素の気泡が発生します。

二酸化炭素が発生するので、胃腸が膨張したり二酸化炭素濃度が一時的に上昇することが考えられます。

つまり分量やタイミングを間違ってしまうと、気持ち悪くなってしまうということです。

僕のレースでの重曹利用の失敗

これは実際にその通りで、まさに僕は分量とタイミングを間違えてしまい、大変な目に遭ったことがあります。

2018年の神宮外苑24時間チャレンジに参加した際のことです。

24時間走なので、その時その時の運動負荷というのはそれほど高いものではないというのは理解できるのですが、競技時間が長いということで念のために重曹をレースの1時間前に飲みました。

上記の実験では体重当たり0.3gの実験でしたが、この後の本の記述で練習で体重あたり0.6gの重曹水溶液を1時間前に飲むという記述を、うろ覚えのまま中途半端な解釈で実施しました。

僕の失敗点としては

  • 体重当たり0.6gでは僕には多かった
  • 間を開けて2回飲んだ
  • ぶっつけ本番で試した

などが挙げられます。

まず、0.6gで練習するとあるので、練習の中で自分にあった適量を探すプロセスがあるはずですが、そこをすっとばしました。

あと、徐脂肪体重の方がいいのではないかなと後から思いました。

次に、間を開けて2回飲んだということですが、8時間後くらいに2回目を飲んだのですが、おそらく許容量をオーバーしていたと考えられます。

どうなったのかというと、お腹にウシガエルを飼っているようでした。

重曹が体内で大量の二酸化炭素を発生させたことで、まずゆっくり走っていたのに酸欠のような苦しさに見舞われました。

そして、たぶん二酸化炭素だと思いますが、腸内でガスとなってしまい、劇的な腹痛になりました。

腸がガスでパンパンになっていたのでしょう。

走ると腸からウシガエルの鳴き声のような音がピッチとともに響き、頻繁にトイレにかけこむという緊急事態に陥りました。

練習でやってないことは本番ではやってはいけない良い例です。

そのレースはその他いろいろな実力不足で結果は散々だったのですが、色んな意味で勉強になりました。

効果を感じる一面もあり

ちなみに、後日談となりますが重曹はそこで凝りずに色々と試していて、タイムトライアルや心拍を上げる強度の高いトレーニングで、なおかつ目安となるタイムを出すのが目的の場合などは、容量を摂り過ぎない場合に限り、ある程度効果を実感できていると感じられます。

飲む際に気をつけたい点としては、

  • 苦い
  • しょっぱい
  • 飲んで時間を置かずに走ると苦しい

などがあります。

あと、より効果を求めてアルカリ性の度合いが強いものを求めたりしてはいけません。

ただ、ツール・ド・フランスに出るようなチームとしては重曹よりもクエン酸ナトリウムを使いたいということです。本当は。

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