こんにちは。
今回は、
マラソンやランニングでのオーバートレーニングと貧血の調査について
というテーマです。
ランニングにおいて記録を伸ばすことを考えたとき、どうするといいのかをかなりざっくり述べるとするとこうなります。
- 質の高く激しいトレーニングを
- たくさん実施して
- ケガをしないで疲労もためない
かなりざっくりですが、こういうことになります。
それができたら苦労しないわ。という話でもあります。
今回の記事は

- マラソンのトレーニングをしているんだけど疲れが取れない
- 走りすぎると赤血球が減ったり貧血になると聞いたことがある
- ランニングと健康状態について知りたい
- 健康のために走り始めたのになんか疲れる
こういった方にとって、いくらかお役に立てるのではないかと思います。
状態を顧みない激しい練習は故障へ

少し脱線しますが
ぼくが中学生くらいの頃、通称ダビスタと呼ばれたダービースタリオン3という競走馬育成ゲームがあってスーパーファミコン、要はスーファミの時代の話です。
このゲームでは自分が馬主となって、競走馬の生産や厩舎の振り分けとか競走馬の訓練などを行なって、レースのタイトルを取るという主旨のゲームです。
当時このゲームには裏技があって、
- トレーニングをしまくって体重を減らしまくると体重がリセットする
- 故障したらリセットボタンを押せば故障を回避できる
これらを使って、トレーニングを積みまくると無双な競走馬が誕生するということです。(実際の世界ではリセットボタンはありません)
話を戻して、どういうことかというと、要は故障せず疲労せずガンガン負荷をかけて、筋力を上げて心肺を血液をぶん回せば速くなるという極論なわけですが、当然ながら実際の世界では馬も人間も故障します。
肉体的な故障がギリギリ発生していなくても、疲労をため込んだりしていて貧血やオーバートレーニング症候群に陥っていたりもします。
最近ではオーバートレーニングについても取り上げられたりして、選手の健康管理や体のケアなどについても重要視されるようになっています。
社会人女性ランナーの健康状態

そこで今回は、社会人女子長距離ランナーの健康状態を観察してオーバートレーニング症候群と貧血の有無に関する調査をみながら、実際に市民ランナーにおける健康管理やオーバートレーニング症候群についても考えてみたいと思います。
女子長距離ランナーに対する内科的健康管理
-特に秘訣およびオーバートレーニング症候群に関して-
今回の調査では、某企業女子長距離ランナー13名を2つのグループに分けています。
入社2年目のグループ8名(S群)
入社1年目のグループ5名(J群)
身長は162.3±4.5cm
体重は49.9±5.6kg
トレーニング頻度は週6日
1日の走行距離は約15km
このグループのメンバーに対して適宜に検査を行ない、さまざまな値を調べることで貧血やオーバートレーニング症候群の有無を検討したものです。
結果としては、
S群の入社時の検査でのヘモグロビン値は全員正常値だったものの、3か月後の検査では6名で正常以下になっていました。
同様に6名が、血清鉄の値が正常以下あるいは正常値の中での低位まで低下していました。
S群2年目におけるデータでも、J群1年目におけるデータでもヘモグロビン、血清鉄、フェリチン、ハプトグロビン値の数値が正常値以下に低下しているか、正常値の中で低位になっていました。
今回の調査で対象になった女性ランナーにおいて、調査結果から貧血が多いということが判明していて、原因として血清鉄やフェリチンの値が低値になっていることからの鉄欠乏性と、ハプトグロビンが低値になっていることから血管内容血の影響もあることも推測されました。
血清鉄・フェリチン・ハプトグロビンについて
あまり聞かない項目名だったりする場合もあるので、この原因とされる血清鉄・フェリチン・ハプトグロビンという項目について少し触れます。
血清鉄
血液中の鉄分が足りているかどうかの値で、低値である場合は鉄欠乏性貧血などが考えられます。
フェリチン
フェリチン(Ferritin)とは、鉄結合性タンパク質の一種である。 生物の細胞内において、鉄と結合することにより鉄を保存し、必要なときに鉄を放出する。
フェリチン – Wikipedia
フェリチンは鉄と結合することで鉄を保存して、必要なときに鉄を放出するたんぱく質の一種です。
一般採血で行なわれないフェリチンの数値が低かったりすると、一般採血による値で貧血と発覚しない場合でも、フェリチン値が低いことでかくれ貧血やさまざまな心身の不調の原因となったりする場合があります。
運動に関する本ではありませんが、こちらの本ではフェリチンやたんぱく質が不足していることによる弊害やその対処などを自身の臨床から書かれています。
ハプトグロビン
ハプトグロビンは、溶血(赤血球がこわれること)によって、血液中にヘモグロビンが遊離されると迅速かつ強固に結合して、正常な代謝経路である肝臓に運び処理する働きを担っています。
ハプトグロビン製剤 一般社団法人日本血液製剤協会
溶血が起きると遊離したヘモグロビンと結合することでハプトグロビンが消費されるため値が低下します。
今回の調査は、オーバートレーニング症候群と貧血に特に重きを置いて調査しています。
実際に強度の高いラントレーニングやトレーニング量が多すぎたりすると、疲労が回復しなかったり上記のように血液の値が低値になったりするなどの兆候が出てくることがわかります。
この調査では社会人女性ランナーにおける調査ですが、一般の市民ランナーでもトレーニング量が多すぎたり、負荷が強すぎたりすると同様の兆候がでるものだと考えられます。
現に一般のランナーでも超ウルトラマラソンなどを走ると、ヘモグロビンが低下したり、その他の数値が上昇するなど血液の値が変化したりします。
オーバートレーニングや貧血などにならないために
いちばん身近な対策としてできることは、十分な栄養と休養だと思います。
上記の調査においても、食事とトレーニング内容を改善したところ貧血が改善されたとあります。
ランニングではトレーニングとともに体重の軽さが重要視されていて、実際に軽い方が走りやすいため、食事が軽視されることがあったりします。
ぼくが食事に関して発言するのはものすごく説得力がないのですが、ランニングということで考えたとき、体脂肪を増加させないように鉄分およびたんぱく質の豊富な食事をとることが重要であると考えられています。
また、環境だったり自己の目標において練習強度や量を下げられない場合などは、栄養摂取だったり体のケアに留意する必要があります。
先に紹介した藤川先生の書籍は、運動している人を対象にしたものではないのですが、一般人が知らない血液の値についてや、たんぱく質や鉄をしっかり摂ることで体や精神の健康にも影響を及ぼすといった旨について書かれているので、興味のある方はどこかでパラパラめくってみるのもいいと思います。
いつもここで触れているVO2maxについてもトレーニングだけではなく、血液の状態や赤血球ヘモグロビン量も関係します。
現に、自転車の世界などでは自己輸血ドーピングで一時的に赤血球数を増やして心肺能力を上げていたという事例もありました。
これは競技的に違法行為だし素人がやると危険なのでやってはいけないのですが、血液ドーピングを行なわず血液の状態を向上させるということは疲労や貧血だけではなくVO2maxなどランニングのパフォーマンス向上にも影響するので、特にオーバートレーニングや貧血には縁が無いという方でも血液や栄養について気にして損はないのではないかと思います。
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