こんにちは。
今回は、
力強いマラソンのためにビタミン・ミネラルと栄養素が必要な理由
というテーマです。
去年の暮れあたりから、寝不足とストレスからか動悸や息切れなどがちょいちょい出るようになり、何かしらの改善にと思い食事や栄養についての本を読んだりしていました。
寝ろといわれるとそれまでなのですが、まあせっかくなので調べたりしているとなぜかいつのまにか話がマラソンに置き換わっています。
生命活動や運動をするにはエネルギーが必要で、マラソンなどのスポーツにおける筋肉の収縮でもそれは例外ではありません。
エネルギーをうみだすにはエネルギーの元となるものが必要で、何もないところから急にエネルギーが出てくるというものではないということです。
脂質と糖質から生まれるエネルギー
一般的には一口に、糖質と脂質をマラソンのエネルギーとして走るなどという表現をすることがあります。
実際にはこの表現は厳密ではなかったりしますが、
どういうことかをざっくり解説すると、
- 骨格筋の収縮や弛緩の運動にはエネルギーが必要
- そのエネルギー源はATPによって供給される
- ATPとはアデノシン三リン酸
- ATPの代謝によって乳酸などの代謝産物が蓄積される
- ATPは消費と同時に補充も常に行われている
- ATPの主な補充系には
-
- クレアチンによるATP-CP系
- グリコーゲンによる解糖系または乳酸系
- 脂肪による有酸素系などがあって
- それぞれにおいて異なるプロセスでATPを補給する
https://www.dnszone.jp/nutrition_guide/1-3.php
知らなくても走ることは可能なので特に問題はありません。
- ATP-CP系はハイパワーの瞬発力
- 解糖系はミドルパワーの無酸素運動
- 有酸素系はローパワーの持久力
といった感じで、ATPの効率や量が異なるのが特徴です。
どのプロセスによるATPの補充においても、それぞれの異なったプロセスによってATPを補充していくわけですが、どのプロセスにおいてもその必要な物質があります。
ところで、このようにグリコーゲンや脂肪からATPを供給していくというプロセスにおいて、そのプロセスを正常に稼働させるためにビタミンなどの補酵素が必要になります。

図のように、栄養素を代謝経路でエネルギーにする過程で、多くのビタミンやミネラルが必要になります。
エネルギーを合成する効率が下がる
このとき、その必要な栄養素が体内に不足していると、ATPを供給する効率が低下したりする場合があります。
そうなると、ほかの物質は揃っていても、次のプロセスを実行して次の物質になるための材料がなければ、そのプロセスは実行されないまたは遅延することになります。
これを仮に弁当屋さんに例えると
弁当屋さんがのり弁を100個作って売るとします。
弁当屋さんはのり弁を100個作って売るための材料を揃えて調理します
ところがのり弁にのせる白身フライが50個しか業者から届きませんでした。
結果のり弁は50個しか売ることができず売り上げも目標に未達でした。
一体なんの話かというと、
弁当屋さん | ランナー |
のり弁 | エネルギー(ATP) |
のり弁の数量 | エネルギー量 |
白身フライとその数 | ビタミン・ミネラルなど補酵素 |
売上 | マラソンのタイム |
これはマラソンにおける目標タイムや設定ペースに必要なエネルギーを栄養素の不足が原因で賄いきれなかったということを意味します
実際にはプロセスはもっと複雑ですが
マラソンとエネルギーをこのように考えることができるということです。
よく知られているのはビタミンB1がATPを供給するTCA回路を働かせるのに必要だということと、ビタミンB1が不足するとにわかにペースが落ちたり動きが重く鈍くなったりします。
同じ感じでフルマラソンではレース中に枯渇するとその日のレース中で復活するのは難しかったりしますが、逆に長いウルトラマラソンだと気の持ち方やペース配分と栄養の取り方で復活したりということもあったりします。
ではどうするか
ではどうしたらいいのかというと、
ATPを作り出すにあたって必要なグリコーゲンや脂肪、そしてビタミンやミネラルなどの要素を不足させないということが重要であるといえます。
脂肪
脂肪に関しては、体脂肪の低い人でもその総量の無尽蔵さから、基本的に無くならないものとして考えられています。
とはいえ、中性脂肪をそのままマラソンのエネルギーとして直結的に利用できるということではありません。
脂肪をエネルギーとして利用するためには、遊離脂肪酸にいったん分解されてからでなければ燃焼(酸化)することができないということになります。
なのでウルトラマラソンを主戦場にするランナーは、この脂肪を使いやすくすることに重きを置いたトレーニングをしていたりします。
食事方法だったり、有酸素運動などの手段がありますが、 同じVO2maxでも脂肪をエネルギーとして使いやすくすることに時間を割いてトレーニングをして脂肪燃焼能力を高めたランナーの方が長い距離では強いといわれています。
グリコーゲン
グリコーゲンについては体内に貯蔵できる量が限られているということが一般的に知られています。
その上限を高めるためにグリコーゲンローディングなどといった手法をとられている場合もありますが、これについては好みによって分かれたりします。
長い距離を走る上で、グリコーゲンからエネルギーを合成するいわゆる解糖系からのエネルギーも当然利用することになります。
ただし、繰り返しになりますが体内のグリコーゲンには限りがあるということと、ここが枯渇してしまうとマラソンにおいては致命的なペースダウンになってしまうということを忘れないようにする必要があります。
そのため持久系競技では、グリコーゲンが枯渇しない最大の速度の上限を引き上げるというトレーニングのアプローチがされます。
VO2maxやLTの限界値を高めて、相対的に運動強度を下げるという考えです。
ビタミン・ミネラル
栄養素からエネルギーを生み出す過程で多く種類のビタミンやミネラルを使用します。
多くの場合は、グリコーゲンや脂肪を蓄えてエネルギーを枯渇させないということを重要視しがちですが、ビタミンやミネラルについても軽視することはできません。
栄養素をエネルギーにする行程の中でビタミンやミネラルは必要なものなので、この各要素の体内における量や密度が低ければそれに伴ってエネルギーを生み出す効率が落ちることになります。
過激な減量はマラソンのマイナス要素に
よくある話ですが、勝負レースまでにあと○kg体重を減らして、本番での動きを軽くしたいという目的で減量することがあります。
ぼくの場合は毎日がスペシャルで毎日が減量なので、あまり直前に過激な減量をすることはありませんが、むしろ少しは過激に減量に取り組んだ方がいいともいわれたりもします。
話を戻して、たとえば普通の体型やある程度仕上がったランナー体型の人が目標レースまでの1ヶ月で3~5kg体重を減らそうと思って取り組んだ場合、たとえ3kgだとしてもそれなりに厳しい食事制限が必要になります。
このような急で過激な減量の場合
- 体内のグリコーゲン
- グリコーゲンと結合した水分
- 食事によって得られるはずだったビタミン・ミネラル
こういったものから体外へ出ていき不足するため、最初の2~3kgは目立って体重が減少するということがよく知られています。
その結果、体重は落ちて軽くはなるのですが、5kmや10kmでは動きが軽快でも長い距離になってくると体が鈍くなったりします。
なので、ランニングコーチなどはレース直前まで減量してはいけないという話をしています。
直前にしっかり食べてもダメ?
グリコーゲンや水分などについては3日くらい前からの直前の食事で補給できるということになっています。
ところがビタミンやミネラルなどについては昨日今日食事で取り入れたところで間に合わないようです。
そもそも普通の食生活では補いきれない物質があったりして、栄養不足になりがちとも言われていて、その上でレース前まで食事制限をしていると体を動かすエネルギーを生み出すために必要な要素が枯渇しているという状況になってしまいます。
現に、貧血やたんぱく質不足による慢性疾患や体調不良の治療として鉄やたんぱく質のほかにビタミンを摂取する場合でも、早くても数ヶ月もの期間を継続しないと数値として数値として表れてこないともいわれています。
直前のドカ食いとドカサプリで摂取しれるものではないということです 。
なぜなら自分はこのくらいの量摂取したと考えていても血中濃度や体内濃度によって脳が不足と判断したら不足ということになるし、エネルギーを合成する効率も低くなります。
最後に
実は自分が思っているよりも、エネルギーと栄養素・ビタミン・ミネラルの関係は重要で、スポーツはもちろんですがスポーツ関係なくても健康かつ元気に生活するためにはとても大事なことだったりします。
ところが、実際の生活では栄養などについて詳しく知っている人はほとんどおらず、必要な栄養素などを摂取する食事というのみあまり知られていなかったり重要視されていないのが現状です。
なぜ知らなくても生きていけるのか、あまり重要視されていないのかというと、それでも生きていけて体が動いてしまうからではないかと思っています。
もし、人体がめっちゃ融通が利かなくて堅物ヤローだったら、必要な栄養素が不足していたら即刻生きられない的なことになってしまうのですが、どうも人体はありがたいことにかなり寛容で、仮に健康とかけ離れた食生活をしていても今すぐにどうにかなるということはなかったするし、マラソンも走れます。
あまり体調や事態が悪い方向へ転がったり、走るのに不自由したりする前に体と健康とパフォーマンスをいい状態に維持するという意味においても、栄養面については少し気にしても損ではないのではないかと思います。
いいタイムと健全な体と健全な精神のために。
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