こんにちは。
今回は、
アスリートから検出のマラソン持久力が向上する腸内細菌ベイロネラ
というテーマです。
マラソンや他の競技でもそうですが、運動パフォーマンスを向上させるにはトレーニングによる要素が大きなウェイトを占めるというのは誰もが知っていると思います。
トレーニングなしでパフォーマンスが向上することは考えにくく、それゆえにプロアマ問わずどの競技でも、自分の空き時間をトレーニングにあてています。
とはいうものの、トレーニング以外のパフォーマンスを形成する要素というのも決して無視することはできないということも、当然よく知られていると思います。
たとえば疲労などのコンディションの管理だったり、食事だったり筋肉や血液の状態など、知らなくても競技は可能ではあるけど知っていて損はない、ケアできる方がパフォーマンスが向上する可能性があるという要素もあります。
腸内細菌と運動パフォーマンス
そんな運動パフォーマンスに影響をおよぼすさまざまなトレーニング以外の要素の中から、今回は腸内細菌についての記事が少し前にあったのでこちらについて触れてみたいと思います。
腸内細菌というと、このところよく耳にするようになってきた腸内環境というワードに関する要素ですが、腸内環境に影響を及ぼすのが腸内細菌ということになります。
これがどうマラソンなどのスポーツに関係してくるのかというと、少し前にこんな記事と研究がありました。
マラソン後に増える腸内細菌ベイロネラ
2015年のボストンマラソンで、大会前後の各1週間にわたってエリートアスリートの便を採取して、腸内細菌の変化を調べたという研究で、大会後はどの選手もベイロネラという種類の最近が目立って増えたという結果になりました。
またこの研究では非アスリートの調査もしていてその差についても書かれています。
このベイロネラという細菌には運動によって発生する乳酸を代謝してプロピオン酸に変えるというはたらきがあるということです。
ベイロネラと急にいわれてもよくわからないと言われると思いますし、ぼくも初めて目にする単語なのはいうまでもありません。
なので、この研究においてレース後のランナーに目立って増えたベイロネラに関する特徴について挙げていくと
- マラソン後のアスリートの便から増加して検出された
- 座位が多い人の腸には見られない菌である
- ベイロネラは乳酸を代謝してプロピオン酸に変える
- ベイロネラを腸内に補給したマウスの群はそうでない群に比べ、トレッドミルによる運動能力が13%向上した
プロピオン酸という短鎖脂肪酸
ベイロネラは運動をすると筋肉から生産される乳酸を代謝してプロピオン酸に変えるということで、このプロピオン酸を利用して運動能力を改善するのだということです。
乳酸が唯一の炭素源ということで、乳酸がベイロネラにとって主要な食事源となるわけですが、ベイロネラが乳酸を代謝することで乳酸が代謝されることそのものが運動能力の改善につながるというわけではないということに注意する必要があります。
というのも、乳酸の蓄積が筋肉疲労の原因となるというのは現在では正しくないということになっているので、乳酸の代謝そのものが運動能力の向上というわけではないようです。
そこで研究チームの運動能力向上の原因について、さらなる調査が行われたところ、ベイロネラが乳酸を短鎖脂肪酸であるプロピオン酸に変換させているということが明らかになりました。
研究チームはマウスの直腸にプロピオン酸を摂取させることで、運動能力が向上するかという検証を行い、その通り運動能力が向上する結果となりました。
現段階でプロピオン酸が運動能力にどのように影響して運動パフォーマンスが向上しているかという部分については明らかになっていませんが、いずれ明らかになることと思われます。
意図的なパフォーマンス向上にできそうなこと
ここまでで、
- アスリートの腸内にはベイロネラが座位中心の非アスリートより多い
- アスリートのベイロネラはマラソン後に優位に増加する
- ベイロネラを補給したマウスは運動パフォーマンスが向上
- ベイロネラは乳酸をプロピオン酸に変える
- 短鎖脂肪酸のプロピオン酸をマウスに補給すると運動パフォーマンス向上
ということがわかりました。
ではこれらのことを踏まえて、少しでも市民ランナーなどの市民アスリートがこの恩恵にあずかるためにはどうすればいいのかを考えてみると
ベイロネラやプロピオン酸を腸に補給するというのは現実的ではありません。
また、短鎖脂肪酸であるプロピオン酸を経口で服用したとしても、腸に到達する前に消化液によって分解されてしまう可能性が高いとのことです。
できそうなこととして考えられるのは、
- なるべく座らないことと
- ベイロネラが増えるよう運動を心がける
- よい腸内環境を心がける
座位中心の非アスリートにはベイロネラが見られないということから、あまり座らない環境と運動を心がけることは現状で可能な市民ランナーにそうなことと思います。
仕事などの環境的に座らないということが難しい人もいるかと思いますが、できる範囲でということになってしまいます。
また、長時間にわたって座ることの健康リスクについてのニュースなども報じられていたりもするので、気をつける価値はあるのではないかと思います。
腸内環境については、非常に複雑なのでわからないことも多いのですが、偏った食生活や悪い食生活などによって腸内環境を悪化させるよりはいいと考えるしかないと思います。
あとは、成分とパフォーマンス向上の因果関係があるていど分かっていれば、いずれは何かしらの製品になって恩恵を受けることができる未来も訪れるかもしれません。
パプリカキサントフィルやイミダペプチドなどの酸素運搬や持久力に関する成分も以前は明らかになっておらず、製品にもなっていませんでしたが今は製品があることから、いずれはそういった日がおとずれる可能性もあります。
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