こんにちは。
今回は、
NIKEヴェイパーフライのタイムへ意味効果とフォアフットについて
というテーマです。
もう色んな人が触れていつつ、たくさんの人が履いて効果を実感しているシューズなので、今さら書くようなことではない気もしますが、NIKE ヴェイパーフライについての記事です。
実際にテレビでマラソン中継を見ても、市民マラソンの大会に参加してもヴェイパーを履いているランナーの数は多いと感じます。
これは企業のマーケティングだけではなく、多くのランナーが履いて効果を実感していることと、その効果の体験をSNSなどで発信していることが大きいと思います。
ぼくも最初のモデルを1足買って履いてレースに出ましたが、反発力や推進力そしてクッショニングの良さも感じ、楽に速度を出すことができるという印象を受けました。
とはいえ、その効果に比例してランニングシューズの中でも高価格かつ、一時はまったく手に入らずにリリース&即完売という状況が続いていました。
現在はZOOMX VAPORFLY NEXT% 【ズームXヴェイパーフライNEXT%】としてさらなる改良がされています。
以前に比べると物理的には入手しやすくはなったと思いますが、それでも価格面と耐久度的に(改善はされています)もハードルが高いと感じている人は多いのではないかと思います。
人間の心理として、買って合わなくて失敗したくないし損したくないという気持ちもあってか、あと一歩で踏みとどまっている人もたくさんいるかもしれません。
今回は、少し前のデータではありますが、ヴェイパーフライのプロトタイプについてのオープンアクセスの論文からいくつかヴェイパーフライについてのデータを紹介して、ヴェイパーフライの購入を迷っていたり興味のある人への提案のひとつとして読んでみてもらえればと思います。
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs40279-017-0811-2#Tab1
今回の記事は

- ヴェイパーフライに興味がある
- ヴェイパーフライを買いたいけど色々ためらっている
- ヴェイパーフライで速く走れる根拠を知って履きたい
- ヴェイパーヴェイパーまわりが騒いでいて正直聞き飽きて自分はアンチ寄りだけど一応スペックは気になる
- カーボンプレートやミッドソールの反発力やエネルギーについて興味がある
こういった人にとって、読んでいただければお役に立てるかもしれません。
ヴェイパーフライはなぜ速いと感じるか
マラソン大会の中継で、先頭集団の映像が映ると見事にほぼヴェイパーで、足元の色ビッカビカです。
速い人が履いて速いのは当然として、速い人がそれを選ぶには速く走れる理由があるわけで、そういう靴だということになります。
一般にランニングシューズの性能としてで速く走れるのは要素とはなにかというと
- 軽い
- 反発力
- クッション性
ざっくり挙げるとこういう要素があって、ほかにもフォルムとかもあるのかもしれませんが、今回は論文中にある反発力やクッションつまりエネルギーコストの視点からデータを紹介していきたいと思います。
今回紹介するデータは少し前のプロトタイプのデータで、今はさらに各メーカー各モデルも進歩しているとはおもいます 。
ヴェイパーフライと他シューズの実験
18人の優秀なアスリートが、
年齢23.7±3.9歳
体重64.3±4.7kg
身長177.8±4.6cm
靴 US10(28cm)
10000mのタイムは全員32分未満
- Nike Zoom Vaporflyプロトタイプ(NP)
- Nike Zoom Streak 6(NS)
- adidas adizero Adios boost2(AB)
上記の3種類のモデルを使用して
- 14km/h (4:18/km)
- 16km/h (3:45/km)
- 18km/h (3:20/km)
を3つの別々のセッションで実行しました。
各靴モデルでの2つの試行について、3〜5分間の最大以下の酸素摂取量と二酸化炭素生成量、および平均エネルギーコスト(W / kg)を測定しました。
実験の目的としては、新しく開発されたランニングシューズが既存のランニングシューズに対してエネルギーコストを削減できているか、またその削減の程度はどのくらいなのかを判断するというものです。
エネルギーコストを下げるとどうなるのかというと、アスリートが特定の速度で走るためにエネルギーコストを下げることができる場合、アスリートは既存の生理学的能力でより速く走ることができるというものです。
同じ出力で走ると考えたときに、出力に対する抵抗、つまりエネルギーのロスが少ない方が同じ力で発揮できるわけで、
要はエネルギーコストを下げるということは、シューズという外的要因からのアプローチでランニングエコノミーを高めるということになります。
多くの資本(身体エネルギー)をぶち込んで、経費(エネルギーコスト)を減らして効率と経済性を向上させると売上(ゴールタイム)が向上して利益(PB)が出ることになります。
結果と結論はエネルギーコスト約4%削減
Nike Zoom Streak 6(NS)
adidas adizero Adios boost2(AB)
これらと比較して、
Nike Zoom Vaporflyプロトタイプ(NP)は、
テストされた18人の被験者すべてでランニングのエネルギーコストを削減する結果となりました。
プロトタイプシューズであるNike Zoom Vaporflyプロトタイプ(NP)は、ランニングのエネルギーコストを平均で4%削減しました。

という実験による結論が出て、当時のマラソンの世界記録は2:02:57であるため、1:59:59のタイムをだすために、前者のタイムから2.5%速く走る必要があるということでした。
2017年Breaking2の2時間00分25秒を経て、2019年10月12日にオーストリア・ウィーンのプラーター公園、直線の並木道である「Hauptalee」の片道4.3kmの往復コースで行なわれたINEOS1:59 Challenge(イネオス1:59チャレンジ) にて1時間59分40秒でゴールしました。
なお、公認記録としてのマラソン世界記録は2時間01分39秒で同じくエリウド・キプチョゲの記録です。
ちなみに INEOS1:59とはイギリスの薬品メーカーであるINEOSが主催したもので、BREAKING2はNIKEが主催したタイムトライアルです。
メンタルブロックの打破への貢献となるか
過去には、
- エベレスト登頂
- 1マイル4分切り
- 100m10秒切り
などのような人類の壁といわれるようなラインがあって、これらのラインも誰かひとりが最初に達成することで、メンタルブロックが壊されるということが起こり壁と思われていたものに対する認識が変わることによって、その後何人も達成者が現れるということがあります。
今回のINEOS1:59の結果を受けて、きっかけとしてマラソン2時間という壁に対してのメンタルブロックが壊されて、今後のマラソンの記録が加速していくということも可能性というかそういう方向になっていくと思います。
機械的試験
ミッドソールの特性の評価をおこなうために、Nike Sport Research Labで開発されたカスタムの機械的試験方法で機械的試験が行なわれました。
機械的試験方法として、人間が18km/h(約3分20秒/km)の速度で人間がシューズにかける負荷に似た負荷を、機械で生み出してシューズに与えて変形と力の関係を調べたものです。

ランニングによる負荷と同じようにミッドソールを垂直方向に~2000Nで接触時間は~185msの圧縮をしました。
先に述べたようにこの負荷が18km/hで被験者に対して測定した負荷に似ているということです。

機械的試験の結果
- Nike Zoom Streak 6(NS) では6.1mm
- adidas adizero Adios boost2(AB) では5.9mm
- Nike Zoom Vaporflyプロトタイプ(NP)は11.9mm
ミッドソールが上記の値分の変形をすることがわかりました。
NSとABにくらべてNPは変形の数値が多く、これは約2倍のエネルギーを保存することを示唆しています。
そして、その保存したエネルギーの回収率が、
- Nike Zoom Streak 6(NS) では65.5%
- adidas adizero Adios boost2(AB) では75.9%
- Nike Zoom Vaporflyプロトタイプ(NP)は87.0%
という数値になりました。
これは結果としてNPシューズがほかの2つのシューズに比べてより多くのエネルギーを保存して、かつエネルギーロスを少なく反発を返してくれる弾力性があるということになります。
エネルギーコストと回収率をお金に例える
超ざっくり例えると、
NS国では6.1万円の収入に34.5%の税率で実質金額が39,955円
AB国では5.9万円の収入に24.1%の税率で実質金額が44,781円
NP国では預金限度額11.9万円 に13.0%の税率で実質金額が103,530円
ランニングシューズとしてのエネルギーの回収率で考えると、NPシューズは倍以上のエネルギーを返してくれるということになります。
ソールに対して発生したエネルギーをよりおおく保存することができて、より多く回収することができるという結果になります。
AB国では収入が少ないけど、税率がNS国よりも低いため生活水準が結果的にNS国より豊かだということになります。
地球の重力下において生活してスポーツしている人間にとって、着地によるエネルギーというのは摂理上どうしてもついてまわるものであって、税金のようなものとなっています。
この税金としてついてまわるエネルギーロスによるコストをいかに削減しつつ、実質の額面金額を多くするようにさせるかというのがランニングシューズの役割のようなもので、昨今のマラソン大会などを見るとタックスヘイブン的存在であるNP国に人がなだれ込んでいるというのが現状です。(個人的な見解)
ちょっとビザがおりないことが多く(なかなか買えない)、ビザの申請手数料がやや高額(売価が高価)で、有効日数がやや短い(耐久度が低め)という難点もありますが、それでもその威力は相当なもので国税局(IAAF)がガン見して注視しているのもうなずけるといえばうなずけます。
フォア・ミドル・ヒールどの着地がより良いのか
ちなみに、ヴェイパーフライはフォアおよびミッドフットとかかと着地とどちらがいいのかなどといった疑問を聞いたりしますが、この研究の18名のランナーのうち、8名はかかと着地で10人がフォアおよびミッドフットによる着地でした。
ランニングのエネルギーコストとしては着地による差異はないということです。
ただし、NPシューズにおける靴×着地の相互作用効果としては、かかと着地の方が約1%削減コストが大きい結果となりました。
接地時間の長さについては、かかと着地の方がフォアおよびミッドフット着地より長いという結果が出ています。
今回紹介したデータ類は
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs40279-017-0811-2#Tab1
こちらのURLに公開されていて、詳細な数値などもすべて記載されてあり、閲覧可能になっています。
今回はヴェイパーフライのプロトタイプによるデータでしたが、それからしばらく時間も経ち、各メーカーでカーボンプレートや厚底を採用したモデルや円滑な体重移動を促すフォルムのモデルなども出てきていて、よりシューズの選択肢が広がっています。
もちろん履いた感触も重要
いくらエネルギーコストが低く、効率のよいランニングでタイムが狙えるといっても、履いてみて個人に合うか合わないかというのは実際のところ人それぞれだったりします。
たとえば、初期のヴェイパーだとかかとのホールドが不安だという人もいれば、ひもがすぐほどける(ひもは実体験)などもあったりします。
フライニットだとせっかく買えたのにサイズ感が今までの自分の履いてきたサイズと違ったり、ゆるい気がしたりなどもあって履いた個人の感覚しだいです。
ヴェイパー独特のふわっとしたフォームが危ないという人もいたり、足首に不安を感じる意見もあったりしました。
なので、いろいろなモデルの中から、自分に合っていて走りやすく気持ちよく履けるシューズで、よりよいタイムがでるというのが理想でさらにランニングを楽しめる要因になるのではないかと思います。
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