こんにちは。
今回は、
ランニングや筋出力を向上させる特異的ウォームアップとその効果
というテーマです。
前回の記事では運動前のストレッチのパフォーマンスに対する影響をテーマにしました。
どういった内容だったかをざっくりと振り返ると、
- 運動前のストレッチは走力の向上や運動パフォーマンスを阻害する可能性
- 低強度の有酸素運動と特異的ウォームアップが効果的
という内容でした。
今回は、前回の内容の続きとして運動パフォーマンスが高められる可能性があるウォームアップについて続けていきたいと思います。
効果的なウォームアップ
効果的なウォームアップについては、有酸素運動と特異的ウォームアップが効果的であるということを前回にも触れました。
有酸素運動と特異的ウォームアップを組み合わせることで、筋肉の温度や収縮速度を増大させ、神経や筋活動の活性化を促してパフォーマンスの向上につながります。
特異的ウォームアップとは、たとえば筋トレだったらトレーニングと同じ動作を低強度で行うといったものです。
ランニングの場合は、有酸素運動も低強度の運動も走ることと同義になるので、低強度のジョグということになります。
ウォームアップの効果と方法
ウォームアップとは筋肉が暖まることを意味するわけですが、筋肉の温度が1度上昇すると最大等速性筋力が4.7~4.9%、垂直跳びの高さが4.2~4.4%増加することがわかっています。
ウォームアップの身体への目的と効果としては
- 筋肉の温度を上げる
- 神経・筋活動の活性化
などの目的で行われていて、それによる効果として
筋肉の温度が適度に上昇することで運動パフォーマンスが向上するということなので、筋肉の温度を上げることがウォームアップの目的となります。
また、神経および筋活動の活性化によって運動強度と運動回数を高めます。
中程度の有酸素運動
では筋肉の温度を上げる方法としては、中程度の負荷で強度の高くない程度の有酸素運動を10~20分(60%HRmax)というのが推奨されています。
最大心拍数は個人や年齢によって異なります。
最大心拍数の予測方法の計算式として有名な方法が
- 208-年齢
- 220-0.7×年齢
などの計算式があります。
たとえば40歳の人の場合で上の式で計算した場合
220-40=180
で180bpmがHRmax
下の式の場合
208-0.7×40=180
40歳の場合ではどちらの式も同じ値となりますが、一般的には下の式の方がより正確な最大心拍数を予測できるという結果が示されています。
とはいえ、どの年齢においても最大心拍数は10程度の標準偏差があるというのが一般的なので、実測値が必要なレベルのアスリート以外はそこまで厳密さにこだわる必要はなさそうです。
特異的ウォームアップ
特異的ウオームアップとは、近年重要なウォームアップといわれてきている方法です。
筋トレであれば、そのトレーニングと動作と同じ運動を軽い強度、低負荷で行うというのが特異的ウオームアップです。
たとえば筋トレであれば、その動作と同じ動作を軽い重量によって低負荷で行うことなどです。
陸上競技などであれば、その種目の動きと同じ動作を低強度で行うということになります。
同じ運動を軽い負荷で行うときに、神経活動の増強、脊髄の反射的電気活性の増大、筋肉内のカルシウムイオンの増加といった生理学的な作用がはたらくことによって、パフォーマンスの向上につながることが明らかになっています。
特異的ウォームアップの効果
2011年ブラジルのサンパウロ大学では、有酸素運動に特異的ウォームアップを加えることで最大筋力が向上することを明らかにしました。
実験では、
- 特異的ウォームアップ
- 有酸素運動+特異的ウォームアップ
この両者で比較され、特異的ウォームアップのみのときに比べて、有酸素運動+特異的ウォームアップの方が8.4%の最大筋力の増加が認められたという結果となりました。
同じ運動を軽い負荷で行うときに、神経活動の増強、脊髄の反射的電気活性の増大、筋肉内のカルシウムイオンの増加といった生理学的な作用がはたらくことによって、パフォーマンスの向上につながることが明らかになっています。
この記述からもわかるように、特異的ウォームアップによって神経活動が促進されることで、運動単位の動員が促進された結果、より筋力が発揮されると推測されます。
これは運動神経と筋繊維で構成される運動単位が筋力の発揮を左右するサイズの原理と、特異的ウォームアップの効果によっての結果と考えられます。
また、2015年のブラジル・リオデジャネイロ・フェデラル大学では
- 静的ストレッチ
- バリスティックストレッチ
- 特異的ウォームアップ
これらの3つのウォームアップで総運動回数を比較したところ、特異的ウォームアップが最も総運動回数が高く、静的ストレッチが最も低い結果となりました。
筋トレにおける特異的ウォームアップの負荷の例として、1RM(最大挙上重量)の30%程度の重量で行い、段階的に目標の強度に近づけていくのがいいとしています。
ちなみに 1RM(最大挙上重量)とは正しいフォームで1回だけ挙げることができる最大重量のことで、重量を使った筋トレを行う際にもっとも重要な基準値ということです。
たとえば1RMが100kgだった場合、1RMの30%は30kgといった具合になります。
余談ですがRM法について少し。
高負荷1RM~3RM…神経系の改善や筋力アップ
中負荷4RM~12RM…筋力アップや筋肥大
低負荷12RM以上…筋持久力(繰り返し反復できる力)アップ
ちなみにRM法の数値について慣れないと分かりにくいのは、数値が高いほど負荷が低いということです。
ランニングに置き換えて考えてみると、それぞれレペティション・インターバル・ジョグなどの関係性と類似していて、それぞれの伸ばしたい能力についてのエクササイズを考えるときに有効なのではないかと思います。
RMついでにさらに余談ですが、自転車のプロ選手についての書籍では神経系や筋力アップに1セットを5回程度の重量でスクワットを行うといった記述がありました。
ということで前回に引き続き、効果的なウォームアップについての記事でした。
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