こんにちは。
今回は、
脂肪燃焼能力を向上させる朝の空腹ランニングは筋肉を分解するか
というテーマです。
先日、朝練と午後練についての記事の中で、空腹ランニングや朝食前のランニングの効果について流れで少しだけ触れました。
どういうことかというと、朝食前の朝練習は脂肪燃焼効果が高い可能性があることと、脂肪燃焼能力を高めるはたらきが期待できる実験結果があるといった旨について、該当の記事で述べました。
https://e-running.net/files/161202position_stand.pdf
空腹ランニングのパフォーマンス効果
もちろんその朝の時間帯しか時間が確保できず必然的に朝練になっている場合や、朝練をする際に、満腹で走るのを避けて食事前にトレーニングをする場合もあります。
とはいえ、意図的に朝食前の空腹状態でトレーニングを導入している人もいて、その狙いは脂肪燃焼能力の向上などによる基礎ランニング能力の向上にあります。
本来、エネルギーへの変換が速いとされている糖質に比べて、量は糖質に比べて圧倒的に多いながらも脂質は効率が低いとされています。
この無尽蔵といえる量である脂質としてのエネルギー源を、より多くそして効率よく素早くエネルギーとして脂質を使うことができれば、そうでない場合と比べて純粋に使えるエネルギーが増えることを意味するということで、これは持久系スポーツをすることにおいて大きなアドバンテージになるといえます。
実際に、トップ選手や持久系のスポーツ以外の分野でも脂肪をエネルギーとして使えるように、使いやすくするための試みとしてのトレーニングや食事法などが取り組まれています。
空腹ランニングは筋肉を分解するのでは
ここまでで、
- 脂肪燃焼効率の能力は持久力においてメリット
- 空腹や朝食前ランニングなどで向上が期待できる
ということですが、ひとつ懸念される問題があります。
一般的に空腹状態やエネルギーが枯渇している状態での持久系トレーニングや競技は筋肉を分解するといわれていることです。
健康志向でも競技志向だとしても、空腹中の運動による筋肉の分解による減少は競技パフォーマンスの低下だけではなく、健康的な肉体を維持するという観点からも問題があります。
トレーニング後の速やかな栄養摂取が分解を防ぐ
これについては、たんぱく質は分解されると窒素が残りかすとして残ることになり、尿中窒素排泄量の増加として知ることが可能です。
これによると運動実施が空腹状態であっても食事後であっても24時間の総尿中窒素排泄量には差がなかったと報告されています。
つまり、空腹状態における運動は一時的にはたんぱく質の分解を促進する可能性があっても、その後の食事などによるたんぱく質の補給が十分であればその心配はないと解釈することができるとしています。
運動によってたんぱく質の異化が更新することで、尿中窒素が高まることになりますが、運動後の休息期には同化が高まることによって1日量としては変化がないという結果になっています。
同化が高まる際にしっかり体内にたんぱく質の摂取ができていれば、問題はないということになります。
朝練習/午後練習や食前/食後などさまざまな要素がありますが、運動後のエネルギー補給が不十分な状況が継続していたり、そもそものたんぱく質摂取量が不足しているなどした場合には、どのような場合でも筋肉は分解されていく危険性があります。
たんぱく質の摂取時間と量
ざっくりとした話、食前/食後を問わず 筋肉は運動をすると分解し、休養すると合成することということになります。
ということで合成するときにしっかりと合成するための材料としてのたんぱく質が摂取されている必要があります。
では、どのくらいの量をどういったタイミングで摂取できていればいいのでしょうか。
これまでにおいては、ゴールデンタイムという考え方があって筋トレ後の30分以内にたんぱく質を摂取しておくのがいちばん吸収効率がいいということがいわれてきました。
ところが、最近の研究ではその常識が変わってきているようです。
これまで常識とされていた筋トレやトレーニングなどの常識というのは常に新しい研究結果などから、新しい常識にシフトしていくなどのアップデートがされています。
上の書籍はこれまで何度か紹介させていただいていますが、そのようなこれまでは常識とされてきた考え方や方法論に対しての最新の研究ではこうなっているなどの記述がされていて、 「無駄なく」「超効率的に」「正しく」、そして自分に合った正しい鍛え方を伝授するという本になっています。
たんぱく質摂取のタイミング
こういった最新の研究によると、トレーニング後のたんぱく質の摂取は1~3時間後程度が筋たんぱく質の合成速度が高く、トレーニングの強度にかかわらず疲労困憊まで追い込めば少なくとも24時間は有効とされています。
こういった研究を受けて、2017年には国際スポーツ栄養学会(ISSN)からは「トレーニング後、少なくとも24時間は筋タンパク質の合成感度が高まる」と公式見解が発表されています。
たんぱく質の摂取量
これまでは体重あたり1g~2gを摂取するのが理想とされてきましたが、筋トレの効果を高める24時間の最適なたんぱく質摂取量の係数としては
24時間で体重1kgあたりの平均値1.62g(最小値1.03~最大値2.20)というように導き出されています。
ちなみに、年齢が上がってくるごとにたんぱく質の合成能力が低下していくことから、若者よりも高齢者のほうがよりたんぱく質を多く摂取する必要がより健康的な肉体を維持するために必要だといわれています。
たんぱく質の摂取方法
ゴールデンタイムといった筋トレ後30分以内にたんぱく質を摂取するという考え方と同じように効果があるとされているのが、たんぱく質と糖質を一緒に摂取してインスリン分泌によって吸収効率を高めるという方法論がありました。
これについては、たんぱく質単体でも同様の効果がある起こることが分かっていますが、ランニング的な観点で考えると筋グリコーゲンの回復は意識する必要があると考えます。
まれにウルトラランナーやトレイルランナーなどで糖質を摂取しないことによって脂肪燃焼能力を向上させている人もいます。
まとめ
ということで、先日の記事の派生から朝食前の朝練習、または長時間食事をしない状態からのランニングによる脂肪燃焼能力の向上や脂肪燃焼効果によるエネルギーの産生についてを考えた場合の、筋肉の分解や減少についてという内容の記事でした。
- 運動やトレーニングで筋肉は異化(分解)する
- 休養によって同化(合成)が進む
- 運動後のエネルギー補給が長時間不十分だと筋肉が分解されるおそれ
- 年齢や体重による理想的なたんぱく質量がある
- 摂取タイミングは1~3時間、24時間までは効率よく吸収
ということを考慮した上で
ランニングをする際の
食事の有無や朝夕だったりトレーニング後の栄養補給について意識しながらトレーニングをしていくとより効果的なトレーニングが期待できるのではないかと思います。
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