マラソンにおける体温上昇と水分不足による脱水や足つりと対策など

マラソンにおける体温上昇と水分不足による脱水や足つりと対策など

こんにちは。

今回は、

マラソンにおける体温上昇と水分不足による脱水や足つりと対策など

というテーマです。

  • マラソン大会のレース中に足をつったり
  • 後半になると脚が重くなって、いわゆる30kmの壁の状態になってしまう
  • 給水所での水分補給が苦手・序盤の給水が混んでて面倒

などということが人によっては結構あったりするのではないでしょうか。

マラソンは水分補給が大事

マラソンは水分補給が大事

マラソンの大会では、ほとんどの距離の種目において給水しながら走ることが重要です。

暑くても寒くても、運動をすれば汗をかきます。

汗をかくことで、体内の水分量や発汗にともなって体内の電解質なども排出されてしまいます。

水分や電解質などが少なくなってくると、心拍数が上昇したり運動強度を維持することができなくなったり、程度が進行して重症化してくると脱水症状などの症状を引き起こしてレースを続けることができなくなったりもします。

今回はマラソンのレースで給水が不足すると、どういった弊害が起こるのかという部分について書いていきたいと思います。

今回の記事の対象の人

今回の記事が対象になる人は

・マラソンのレースで毎回脚が痙攣してペースダウンや走行困難になることが多い人

・ 後半になると脚が重くなり30kmの壁の状態になってしまう人

・エイドで毎回補給をしない人や水分補給がめんどうに感じる人

・ トイレロスが嫌で水分補給をためらう人

こういった人に参考になると思います。

今回は水分と補給のわりと枠組み広めの記事で、後日べつな機会にもっと細かい部分を掘り下げていければと考えています。

まずマラソンにおける水分の重要性から

この記事では水分補給について書いています。

ジェルによる糖質など他の補給に関してはいったん触れずに進行します。

まず、マラソンにおける水分補給の重要性について挙げていきます。

体内水分を失うリスク

体水分が減るとランニングやスポーツパフォーマンスが低下するというのは有名な話です。

体重の5%を失うような事態になると医学的に脱水症状と診断されますが、スポーツのパフォーマンスとしては体重の2%を失うと以降1%ごとに著しくパフォーマンスが低下していきます。

どのように低下するかというと、

  • 集中力の低下
  • スキルレベルの低下
  • 心拍数の上昇
  • 体温の上昇

このような症状があらわれます。

2%の脱水以降、1%の脱水につき直腸温の約0.3℃の上昇と、心拍数の約10bpm / 分の増加が起こります。

どの弊害もランニングなどの運動パフォーマンスにおいては、状態が進行すると深刻で

体温の上昇が起こると、内臓や筋肉などの体内の温度を下げるために心拍数が上昇します。

体温が上昇して心拍数が上昇するとさらなる発汗につながり、さらなる体水分の喪失はさらなる体温と心拍数を上昇させるといった悪循環を招きます。

体重の2%とはどのくらいかというと

体重水分
40kg0.8kg
50kg1.0kg
60kg1.2kg
70kg1.4kg

このようになっていますが、このくらい水分だとすぐに汗で体外に出てしまうと思います。

このことから、運動パフォーマンスをマラソン競技中に最後まで高い水準で維持するためには、水分の補給が不可欠になります。

水分補給が必要不可欠

では、体水分の喪失によるパフォーマンスの低下を防ぐためには、当然ながら水分補給が不可欠となります。

ところが、たとえば50kgの人の水分2%を失ったからといって、2%に該当する約1Lの水分を飲みましょうといったところで、一気に1Lの水分は飲めないし飲めても吸収までに時間がかかります。

飲んだ水分が吸収されるまでのタイムラグで、水分の排出は続いていきます。

なので運動中の水分はこまめに飲まなくてはいけません。

一般的なマラソン大会のエイドステーションに置かれる紙コップの水やスポーツドリンクは100~200ml程度です。

おかわりすることもできますが、飲んでも1回に200ml程度が走りながらだといいところだと思います。

大会のエイドステーションは2.5km~4km程度おきにあると思いますが、エイドごとにサボらずこまめに給水していくのが必要です。

よくある話ですが、スタート直後で元気な状態だと、序盤のエイドの混雑具合が嫌だったり、序盤で喉が渇いていないなどの理由で、第1~2エイドくらいまで給水しないまま走るという人もいたりします。

ここまでの話からいくと、飲める量・吸収量とパフォーマンスの低下のことからも考えてエイドでの給水を飛ばすというのは、マラソンパフォーマンスを最後まで維持するという視点においては得策ではないといえます。

筋肉の痙攣などの原因にも

筋肉の痙攣などの原因にも

暑い日は脚をつるというのはマラソンを走るランナーであれば体感的に知っていると思います。

暑い日は大量に汗をかきます。

大量に水分を失うことで、筋肉の痙攣の原因となります。

水分・ナトリウム・カリウム

この脚がつるということについてですが、マラソンなどの持久スポーツにおける筋肉の痙攣はナトリウムもそうですが、水分とカリウムにも注意する必要があります。

ナトリウムやマグネシウムばかりに目がいきがちですが、オレンジジュースやエイドにオレンジやりんごなどがあれば摂取することでカリウムも摂取することでカバーできます。

何をどのように補給するか

マラソン大会での水分補給といえば水かスポーツドリンクで、電解質の補給といえばスポーツドリンクが有効だといわれています。

ただし、糖質を含む水分はその糖質の濃度によって吸収速度が異なります。

500mlの糖質飲料を摂取したときの体内への吸収量を調べた研究では、飲水から15分 で200 ~ 250ml 程度の飲料が吸収されずに胃内に残っていたという結果がでています。

これにはぼくも実体験として心当たりがあって、フルマラソンの折り返しでコーラを多めに飲みましたが、30kmあたりで何だったかで吐いたときに黒い液体がそっくり出てきたということがありました。

適度な濃度の糖質飲料は吸収効率がいいですが、濃度が高い飲料は浸透圧の関係で吸収速度がゆっくりだということもあり、少量でこまめな摂取を心掛けましょう。

競技中の水分補給に糖質入りのスポーツドリンクが大会エイド用意されていて、水分と電解質や糖質もある程度補給することができます。

前述にもありますが、糖質濃度の高いドリンクの競技中の吸収スピードを気にされている方もいると思います。

実際に胃に溜まる感を感じる方もいたりして、経口補水液とかエイドであればいいのにと思っている方は、シンプルですが水とスポーツドリンク両方エイドでいただいてを1:1で飲むと結果的にドリンクでの糖質の濃度が下がることになります。

ドリンクの糖質濃度を下げてもジェルなどで糖質を摂取しているという点については、ブドウ糖にくらべてマルトデキストリン溶液の方が浸透圧が低いということから、気になる場合はマルトデキストリンの濃度が高いジェルなどを使用するなどの選択肢もあります。

引用

 また、アメリカスポーツ医学会は、運動中には脱水量が体重の2%を越えないよう水分を摂取することを推奨しており、飲料には電解質と糖質を含んでいることがよいとしています(*4)。  糖質を含んだ飲料が推奨される理由としては、腸管での水分吸収を促進することが挙げられます。主要な糖質であるブドウ糖は、腸管内でナトリウムが同時にあると速やかに吸収されます。そしてそれらに引っ張られ水分も吸収されるというのがそのメカニズムです。  実際に、ブドウ糖だけ、あるいはナトリウムだけの溶液より、それら両方を含んだ溶液の方が水分の吸収が速いことが実験で明らかになっています(*5)。また、単糖であるブドウ糖に比べて、同じ糖質量であれば重合した(マルト)デキストリンの溶液では浸透圧が低くなるため水分吸収が速まりますし、ショ糖の溶液あるいはブドウ糖と果糖の混合溶液ではブドウ糖以外の糖の影響により水分吸収はさらに速まることも報告されています(*6)。

https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_000179.html

水分や水分補給が足りなくなるとは

体水分が足りなくなったり水分補給が間に合わなくなるというのはどういうことなのでしょうか。

これについてはこの記事の序盤に書いたとおりで、

  • 運動強度
  • 体水分の喪失
  • 心拍数
  • 気温や天候
  • 体温

これらの要素が悪い方向に相乗効果を生み出し悪循環になっているということになっています。

体水分の喪失を最小限に抑えるために

ここまでで、どのように体水分の失われていって、それによってどのような弊害があるのかについて書いてきました。

では、それについての対策としてどうするかというと、

こまめに水分を摂る

こまめに水分を摂るというのはここまでに書いたとおりで、一度に飲むことができる水分の量にはあるていど限度があるということと、摂取した水分が吸収されるのもまた一気に吸収されるわけではなく、タイムラグがありつつ徐々に吸収されます。

なので体水分が不足してから摂取しているのでは飲む量も吸収量も一度に発汗量を補うことができないので、こまめに排出した水分を常に摂取していくことが必要になります。

水分の収支(摂取と排出)バランスを極力マイナスに傾けない

これも上の項目と同様になりますが、水分の摂取と排出の収支バランスが極端なマイナスに傾くと脱水症状になるということになります。

そしてくり返しになりますが、水分の収支を極力イーブンに抑えるためにはこまめな補給が必要です。

寒い日のレースや、設定した目標タイムが自分の想定に対して余力がない場合などに、レース中にトイレに行かざるを得なくなってしまうことを懸念して水分を我慢してしまうなどのケースがあったりします。

序盤に水分補給をしなかった場合、中盤以降に水分不足となってしまって失速したり脚をつったりする可能性が高くなります。

フルマラソンの距離をレースペースで走るような運動強度や、長時間の運動などでは気温が低くても知らぬ間に水分を失っていることもあります。

恐れずに体と相談しながら水分を積極的に摂るということが重要です。

体温の上昇を防止・冷却しながら走る

運動強度と同様に体温の上昇も、発汗や心拍数の上昇などとリンクして悪循環につながるという旨を下記引用のように前述しました。

体温の上昇が起こると、内臓や筋肉などの体内の温度を下げるために心拍数が上昇します。

体温が上昇して心拍数が上昇するとさらなる発汗につながり、さらなる体水分の喪失はさらなる体温と心拍数を上昇させるといった悪循環を招きます。

ここで有効なのが体を冷やしながら体温の上昇を防止しながら走るということです。

飲料の温度

アップ時の飲料の温度で深部体温を低下させておくことも競技序盤における発汗量に影響を与えることがわかっています。

ウォーミングアップ時の飲料の温度が発汗に与える影響 図5-4は暑熱環境下において、運動の30分前に体重1kg あたり7g のクラッシュ アイス(0.5℃)を摂取した場合と、常温水(22℃)を摂取した場合での発汗量の差を 表したグラフです。 運動開始5分後ころから15分後ころまでの間に、両条件で発汗量に差があることがわ かります(常温水条件で発汗量が多い)。冷たい飲料を摂取することで、運動中の深部 体温の上昇を抑え、無駄な発汗を防ぐことができます。発汗量が気になる場合には、運 動前に深部体温を低下させておくことも有効な対策の1つとなります。

暑熱対策ガイドブック(8月).indd

同様に、競技中の給水についても同じように低温の給水で深部体温を低下させることが重要だとされています。

試合中における水分補給の温度がパフォーマンスに与える効果 暑熱環境下の試合やレース中を想定した水分補給に関する研究では、冷やしていない 水と冷たい水との比較が行われています。図5-5は、最大パワー発揮の65%強度で疲 労困憊までの運動継続時間に飲水温度が与える影響を示したものです。この研究では、 運動前および運動中に4℃の水を摂取した方が、37℃の水を摂取した場合に比べて運動 中の深部体温が低く抑えられ運動継続時間が長くなったことが報告されています。 その他にも暑熱環境下における飲料水の温度がパフォーマンス発揮や体温調節に与え る影響が検討されており、基本的には飲料の温度の低い方が持久性パフォーマンス発揮 に有利に働く傾向があるようです(表5-1)。

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また、マラソンの中継やサッカーの試合などで見かけますが、競技中にボトルの水分をかけて体を冷やしたりすることで筋肉の温度を下げることができます。

真似をしてぼくもフルマラソンや100kmマラソンのときに同様に首と大腿部に冷水をかけ続けて走りましたが、水をかけることで体温が下がるためか一時的に楽に走ることができます。

シューズがえらいことになってしまうのが難点ではあります。

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運動強度を適性ペースにする

運動強度が高い状態で競技を続けると、運動強度が低い状態よりも発汗が多いというのは体感的にわかります。

ある実験で 18~21才の6~8年間にわたってある種の競技を継続していた、健康な男子大学生3人に

  • 環境条件は室温を26℃に一定に
  • 湿度(相対湿度)は30%,60%,90%の3条件
  • 室内の気流はいずれの環境も0.6m/sec
  • 運動強度は各被験者の最大酸素摂取量の30,40,50,60,70%と5段階

このような条件で運動を行なう実験をしました。

この実験では、環境温度を26℃と一定にして異なる湿度条件のもとで、30~70%の運動強度を行なった結果として

湿度が高くなるほどVO2max60~70%の運動強度における直腸温と平均皮膚温が顕著に上昇するという結果がでています。

また、発汗量も運動強度が上がるほど増加して、VO2max60~70%で特に顕著だったとしています。

この実験からは、高湿度の大会での体温と発汗には注意する必要があるのがわかるのですが、どの条件においても上昇が顕著なのがVO2max60~70%の運動強度です。

マラソンの運動強度はどうかというと、ジャックダニエルズ氏のVDOT理論から考えると、Mペースがマラソンのペースに当たるわけですが、このときの心拍数の目安は80%~90%ということになっています。

ダニエルズのランニング・フォーミュラ 第3版 単行本(ソフトカバー)

レースでは気温や湿度はその大会によってまちまちですが、運動強度はほとんどの人がこの実験の被験者よりも高い心拍数で走ることになります。

運動強度が高いほど体温も顕著に高くなり、発汗量も顕著に増えるということになっています。

ということはレース運びがオーバーペースになってマラソンペース以上になってしまうと、さらなる運動負荷がかかって、それに伴い消耗も激しくなります。

なので、自分の可能なマラソンにおけるレースペースをしっかり管理して、不必要な体温の上昇と発汗を抑えながら走らないといけないということになります。

まとめ

ここまで長くなりつつ、いろいろなことを書いてきました。

とりあえずシンプルに注意すること何かというと

  • 水分が不足すると体温や心拍数に影響がでて悪循環
  • 水分はこまめに出た分を積極的に補給する
  • 水分と同時に失われた電解質なども補給する
  • 高強度の運動中は体は中と外から冷やす
  • 強度を上げすぎない

このようになります。

これからマラソンシーズンでたくさんのレースがあります。

トレーニングによる走力の向上以外にも補給や体のコンディションも気にしてさらなる良い結果へつなげられるアプローチもあると思うので、水分補給や足つりそしてペースダウンなどが気になるという方の参考になれば幸いです。

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