こんにちは。
今回は、
ランニングやトレーニング後のアイシングは筋持久力向上に悪影響かも
というテーマです。
運動後にはアイシングなどといった話が定番になっていたりして、
- 疲労の軽減
- 疲労や筋肉痛を残さない
- 炎症の軽減
などといった目的で行われていることが多いようです。
プロ野球選手のピッチャーが登板を終えたあとに肩をアイシングしていたりする場面を中継やスポーツニュースなどで見ることがありますが、筋や腱などの炎症を予防および軽減して早く炎症を鎮めることでリカバリーを早めるなどの目的があるようです。
それ以外にも疲労回復や故障の予防などに運動後のアイシングを導入している人もいたりします。
アイシングのマイナス影響は
本来は血流量や充血・膨張などを低減させて組織の損傷などを防止するのが目的でアイシングしますが、その一方で昨今の障害予防や疲労回復などの目的への効果は明らかでなかったりするようです。
アイシングには遅発性筋肉痛を緩和する効果はないなどといった報告もあり、動物のトレッドミル後のアイシングはダメージが大きいなどの結果があります。
- 健康な男子を被験者に
- 自転車による持久的トレーニングを行い
- 期間中は決められた側の脚を5℃の冷水に浸す
こういった実験を行い、習慣的な運動後の冷却が持久的トレーニングにどういった影響をおよぼすか調査したところ、
5℃の冷水で冷却を習慣的に継続した側の脚が、持久的トレーニングの効果を低下させる可能性を示しました。
運動後のアイシングは、運動直後には感覚的にリフレッシュを感じたり、疲労軽減効果を感じたりすることによって、一時的なパフォーマンス改善を感じることが認められるものの、長期的な視点においてはトレーニングによる運動能力の改善向上を妨げる可能性があるということになります。
そこで別な研究では、
- ハンドグリップを筋力トレーニングとして行い
- 週3回の頻度で4週間
- 被験者ごとに片方の上肢を20分冷却
冷却側と非冷却側で最大筋力と筋持久力を測定して比較しました。
結果として
- 男女とも全被験者で筋力は増加
- 筋力の変化は冷却の有無で差異はなし
- 筋持久力(ハンドグリップ回数)は
- ・非冷却側は増加
- ・冷却側は変化せず
という結果になりました。
http://www2.mizuho-c.ac.jp/library/images/library/kiyo_01/amckiyo-no01-15.pdf
筋力の増加においてはアイシングの有無は影響しないものの、筋持久力の向上においてはアイシングは能力の向上に逆効果になる可能性があると考えることができます。

アイシングの使いどころ
マラソンやウルトラマラソンなどの日々のトレーニングで筋持久力を鍛える必要がある競技におけるアイシングはトレーニング効果の枷になる可能性があります。
とはいえ、損傷を受けた個所に対しての冷却効果としてのアイシングの効果と根拠は意義あるもので、そういった目的においては従来どおり効果が期待できるといえます。
ではマラソンやウルトラマラソンなどの持久力系の競技やトレーニングにおけるアイシングはどういった場面で利用して恩恵を享受するべきでしょうか。
- レース中などの表面体温や深部体温の冷却
- 故障や損傷時が発生した箇所への症状や炎症の抑制
- 激しいトレーニングやレースで酷使した場合
こういった場合には必要と考えられます。
上記の実験におけるアイシングの筋持久力へ影響は、継続的で習慣的な冷却の結果で筋持久力の向上に抑制がみられたということになります。
つまり、長期的な損傷と回復と筋持久力の向上を天秤にかけた上で、アイシングが必要と判断される場合には、冷却を行なったほうが損傷を軽減したり回復を促したりする場合もあると考えられます。
また、主観ではありますが、継続的ではない単発的な冷却を損傷した箇所へ単発的に冷却するぶんには影響はそれほど多くないと思います。
筋持久力への影響を考慮するあまり、故障個所への応急処置としてのアイシングが遅れてしまい、回復が遅れてしまうなどといったことが懸念される場合にはアイシングしたほうがいい場合もあるといえます。
これらの結果などから考えると、持久力系のトレーニングを行う選手などは、筋持久力を向上させるトレーニングメニューの後は避ける方が無難と考えられます。
しかし、筋力の増加には冷却は増加を抑制するという影響は見られないので、筋持久力以外の筋力や瞬発力などのトレーニングの後のケアとしてはその効果を抑制しないと考えることもできますが、これについては結果がないのでなんともいうことができません。
ただ、レース中でもない故障のない箇所の冷却は、その影響について考えながら行う必要があると考えられます。
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