『諦める力』書評【読書記録】努力が報われなくても救われる本

こんにちは。

今回は、

『諦める力』書評【読書記録】努力が報われなくても救われる本

というテーマです。

世界選手権400mハードルでの銅メダリストで、引退後も精力的にメディア発信を続ける為末大さんですが、ブログ記事やSNSを通じて競技やその周辺に対する考え方などを勉強させていただきながら思うのが、

めちゃくちゃ思考しまくってる

というのが印象です。

諦める力 〈勝てないのは努力が足りないからじゃない〉

自身の競技人生、引退後に元競技者としてみたオリンピック、そして一個人として世の中を見たときなどのこれまでの経験から、幅広い意味で『諦める力』という考え方で見た上での、アスリートやすべての努力をする人への救いの本ではないかと思います。 『諦める』というのは一見、撤退するというようなニュアンスで、ネガティブな言葉のように捉えてしまうというのが現代の一般的な解釈です。

ところが辞書を引くと、本来先に出てくる意味としては逆にポジティブな意味合いが出てくるということが書かれてある前書きに始まります。

本編についてもその流れを汲んでいて、

第1章では高校3年で陸上では花形とされる100mから400mやハードルに転向することになったという体験があり、為末さん本人も大変な葛藤だったと思います。 「目的を諦めたくないから手段を諦めた」として、その決断と納得は容易ではないというのが伺える中、勝つことを諦めたくないから勝つことを優先して花形である100mを諦めるというのは、勝てる場所で戦うという経営戦略や商売の鉄則に通ずるものがあると思います。

それもそのはずで、僕がこの『諦める力』の存在を知ることになったきっかけは、多分ランチェスターとかの本を読んでいる時に、その関連で得た情報だったのはずです。

この章については、商売や経営の本に通ずる内容を抽象化して受け取ることが出来ます。

第2章はやめることについて考えられています。
ここではいたずらに競技者目線で、競技を頑張ることや無理して継続することに対する疑問符を投げかけています。

これは水面から顔を出す氷山の一角のような成功者やトップアスリートと、水面の下のように陽の目を見ることのできないアスリートについて触れています。

一部の栄光と大多数の成功に届かない人という分類での、成功者ですら生き残りが厳しいと言われるセカンドキャリアの難易度について考えるとともに、サンクコストバイアスの例を使って諦めることの難しさとその理由を例えています。

実際に「ここまでやったんだから」という積み重ねは、残酷ではありますが引き際を誤らせるには十分すぎるほど十分なように思えます。

そして、やめられない理由は本当に自分ものなのかという疑問において、他人の期待を背負いすぎていないか、そのせいで引き際が延びていないかという日本人らしいといえばらしい、他人の期待や願望を忖度した判断や、人の期待を押し付けられることが当たり前になりつつあるトップアスリートへの対応方法や選択肢を提供しつつ、第1章とはまた違う切り口の『諦める』
について書かれています。

アスリートとしての幸せも求めるのが競技者なのだとは思いますが、ここでは一時の競技者人生を包括した総合的な人生の幸せについても考える道しるべになっているのではないでしょうか。

欧米人の引退観や転身をwant toとするなら、日本人選手によくある他者の期待へ答えるべくの配慮などはhave toであると考えることが出来るような気がしました。

そこから第3章、4章につながっていき、言われてみると日本人とは他人という存在を思考の基準にしているところが多く、それゆえに必要のないプレッシャーなどにさらされてストレスになっているというところがあります。

そもそももっと自分を基準にした軸で生きて良いのではないかという提案が本書でされていて、もっというと『諦める力』というのは、人生を他人のために生きることをやめて、自分の人生を自分の手に取り戻すことが人生においての幸福であるいう側面もあると思います。

『諦める力』だったり物事の常識にとらわれない心というのは、自己の執着や他者からの執着から解放されて離れることが人生を軽やかで楽しいものにするということを訴えた上で、前向きな諦めを要所要所で使っていくことが必要だとしていると思います。 『諦める力』という本を通じて一貫して言えることは、

自分が輝ける場所で輝く

人のためではなく自分の幸せのために

自力でなんとかできることに注力する

自力ではどうしようもないことと、自力でどうにかなることがあって、競技においても人生においてもその中で出来ることをやった上で、どうしようもないことと老いは平等に訪れるというところに着地しています。

哲学的、仏教的ともとれる多視点的な幅広い考え方を用いながら、現役時代のご本人も含めて、冒頭に述べたように、やはりすべての努力する人に向けて救いとなるような内容が書かれていると感じました。

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