マラソンの補給と血糖データから失速を防ぐ糖質や水分を考える

マラソンの補給と血糖データから失速を防ぐ糖質や水分を考える

こんにちは。

今回は、

マラソンの補給と血糖データから失速を防ぐ糖質や水分を考える

というテーマです。

マラソンの失速を防ぐための糖質などのエネルギーや水分

マラソンの失速を防ぐための糖質などのエネルギーや水分

マラソンに限らず、食事によってエネルギー源となる栄養などを補給しないと運動はおろか生命活動もままならないというのは周知のことだと思います。

どういうことかというと、まずそもそも運動に限らず生命の活動の動力というか燃料は体内に蓄えられたエネルギーや摂取するエネルギーによって賄われています。

食事などの補給によって、広い意味で生命活動をするためのエネルギーを生み出すためのエネルギー源を摂取しています。

マラソンやウルトラマラソンは、その競技時間や走行距離の長さのために、競技前だけではなく競技中の補給も怠らずに継続しないと走りを維持出来ない、つまりペースダウンしてしまうことになることが多くあります。

主なエネルギー源としては体内に蓄えられた糖質や脂質があり、不足を経口で補給したりもします。

また、スポーツ競技全般においてエネルギーが不足してからではパフォーマンスを維持改善することができないため、エネルギーを極力不足させないあるいは枯渇を遅らせるための自発的な努力としての補給が必要です。

補給や水分については別な記事でも書いていますので、よければ読んでみて下さい。

エネルギーと水分がレースを主に左右する

エネルギーと水分がレースを主に左右する

総じていえることが、フルマラソンも十分長いですがウルトラマラソンはレースが長丁場になるということで、それゆえに

  • レース以前の筋グリコーゲンなどの補給状況
  • レース中におけるグリコーゲン等のエネルギーや水分の補給

などの要素が結果を左右するということです。

今回は100㎞マラソンにおける血糖変動を調査した研究による実験での結果をもとにグリコーゲンの補給について記事にしていきます。

実験の概要

実験の概要

参照する研究は、100㎞マラソン時の血糖変動とパフォーマンスに関する研究です。

100km マラソン時の血糖変動とパフォーマンスに関する事例研究 (グラフなど詳細データはリンク先URLに)

十分なトレーニングを積んだ市民ランナーによる100㎞マラソン中の血糖変動を測定して、レース中のエネルギー補給による血糖値の変動とレースパフォーマンスの関係を調べたものです。

被験者

被験者は十分なトレーニングを積んだ市民ランナー1名

年齢 30 歳
身長 170.0 ㎝
体重 60.3 ㎏
体脂肪率 8.8 %
走歴 5 年
100㎞マラソン経験 なし
フルマラソン 9回
最高記録 2時間44分58秒
平均トレーニング量 66.9km/週(レース前半年間の統計)
VO2max 63.7 ml/㎏/min
最大心拍数 208bpm

レースパフォーマンス

レース開始時の時点で

天気 くもり
風速 0.0m/s
気温 11.0℃ (正午にかけ17℃に上昇)
湿度 75%
レース サロマ湖100㎞ウルトラマラソン
完走タイム 10時間51分45秒
65㎞以降からペースダウンし
90㎞以降で上昇する展開
レース前後の体重変動 ̠-3.3㎏

実験データ測定方法

5㎞ごとのラップタイム・心拍数・推定運動強度を記録。
途中55㎞のラップに11:26.0の中間測定時間を含む。
80㎞地点以降は測定機器の電極が脱落したため、それ以降の血糖値データは記録なし。

測定データとレース記録から

ペースダウンについて

5㎞ごとのラップタイムをみると、60㎞地点のラップから急激なペースダウンが起こりラップタイムが間延びしている結果となっています。

このペースダウンは95㎞まで続き、ラスト5㎞で力を振り絞ったのか、あるいはペースダウン中に血糖が下がった後の補給を続けたことでエネルギー収支がプラスになったことで、ペースアップすることができたと考えることもできます。

血糖値

血糖値データを見ると、60㎞地点におけるエネルギー補給後に急激に血糖値が低下していることが観察されました。

エネルギー摂取の実績を見ると、65㎞と70㎞地点におけるエネルギー摂取量がそれぞれ 31kcal と 11kcal とエネルギー摂取量も低く、血糖値を維持できなかったことから、エネルギーの枯渇が原因と考えられます。

朝食と5㎞ごとのエネルギー補給のカロリーを見ると、

朝食が574Kcalで、それを除いたスタートから25㎞地点までの累計カロリーが183Kcalと補給量そのものがやや少なかったことも失速の一因とも考えることができます。

水分量

また、レース前の体重 60.3㎏ に対して体重減少量が -3.3㎏と約5.5%の水分を失っています。

体水分を5%失うと、いわゆる脱水症状といわれる状態となり、頭痛やだるさなどを感じて運動能力は10%以上低下します。

ウルトラマラソンは長丁場の競技ではありますが、それでもパフォーマンスレベルを最後までできる限り維持するために、頻繁に水分を摂取することで体水分量をできる限り維持する必要があります。

エネルギー収支

同研究の論文から引用すると

レース中の心拍応答から推定したエネルギー消費量は7955kcalであった。しかしながら、レース中に捕球したエネルギー摂取量は1209kcalでありエネルギー消費量との間に6745kcalの負のエネルギーバランスが示された。特に炭水化物消費量の1567gと比較して炭水化物摂取量は275gであり、十分な炭水化物摂取ができなかったことが血糖値の低下とレースペースの低下につながったと考えられる。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/57/2/57_2_285/_pdf

とあります。

レース中に6745kcalのエネルギーがマイナス収支しているということで、論文中においてもこの点について言及しています。

同リンク内のグラフを参照していただけるとわかると思うのですが、エイドによっては糖質エネルギー以外の補給をしていると思われるグラフもあり、そのあたりもコンスタントに糖質を補給しつつ走っていれば血糖値が仮に低下したとしても、もう少し先延ばしにすることができたのではないかと考えられます。

ジュレク氏:「走るとき一番大切なのは炭水化物です。炭水化物をきちんと摂り続けなければいけません。僕は20~30分ごとに25gの炭水化物を摂るようにしています。炭水化物は筋肉のエネルギー源になりますが、それ以上に重要なのはマインドに対する影響です。 ウルトラマラソンは単に肉体的な競技というよりも、マインドが大きく影響する競技です 。そのために脳が必要とするブドウ糖を炭水化物を通じて摂取し続けることが必須です。同時に体力を回復させなければいけません。そのために必要なのがタンパク質と脂質です。ただ繰り返しになりますが、走っている時に一番大切なのは炭水化物です」

https://www.excite.co.jp/news/article/E1445502974829/?p=3

こちらの引用は2015年のウルトラマラソンのレジェンドとして知られるスコット・ジュレク氏のインタビュー記事のものです。

エネルギーは減る前に摂る

引用によると、20~30分ごとに25gの炭水化物を摂るとあり、およそ1時間に50~75gの炭水化物を摂取することになります。

仮に1時間に50g~75gの炭水化物を摂取することを遵守しつつ100㎞マラソンを走るとして、10時間で乾燥する場合500~750gの炭水化物を摂取することになります。

そのカロリーは2000~3000kcalになり、本研究での被験者が摂取した炭水化物量は必要量に対して不足しているといえます。

被験者のレースを通した平均の心拍数をグラフから推測すると、約147bpmくらいになり、最大心拍数の約71%ととなります。

脂肪と糖質の使用割合が50%といわれている、いわゆるファットバーニングゾーンが最大心拍数の60~70%といわれています。

レース中の心拍応答から推定したエネルギー消費量は7955kcalで半分を脂肪でまかなうとしたら約4000kcal、残り半分を炭水化物としてレース前までに貯蔵した分とレース中に補給した分で補うという形で走ることができれば、血糖もレースペースもそこまで低下しない走りができると考えられます。

たとえば、エナジージェルの中でも吸収の速いといわれるマルトデキストリンを100%糖質にしているshotzでは1ショッツに29.8gの炭水化物が含まれています。

大会エイドに用意されている固形物の食べ物だけでは、必要と考えられるカロリーや糖質量を補給するには、かなり食べないといけません。

そして、必要と考えられるカロリーや糖質をエナジージェルだけで賄うには荷物が増えすぎてしまいます。

そこで、大会のエイドにある食べ物とジェル双方を駆使して、たとえば5kmおきに糖質などのエネルギー源、そして電解質やビタミンなどの補給をしていくとレース全体を通して補給が滞らずに血糖が下がったりペースが維持できなくなるというアクシデントに見舞われる可能性やリスクを低減させることができます。

また、大会によっては前半に炭水化物が無いなどというケースもよくあるので、事前知識として入手できるエイド情報などはラン仲間や公式HPあるいはレースレビューなどから情報収集しておくと、よりスムーズなレースになるのではないでしょうか。

前述だったり、他の記事でも述べていますが、エネルギーや水分は不足してからでは遅いというのが原則です。

枯渇する前に体内貯蔵量を減らさない補給の立ち回りが必要です。

スタート時点までの栄養補給も結果に左右する

このことはランナーやサイクリストに限らず、さまざまなスポーツにおいて重要なこととして認知されています。

たとえばマラソンランナーなどはレース前日のSNSなどでカーボローディングとして高糖質の食事をアップしていたりして、レース開始までの糖質の補給および貯蔵についてはあらゆるレベルのランナーにおいて認知されていると思います。

今回の被験者のランナーのレースにいたるまでの6日間の食事状況については、

PFCバランスが(たんぱく質・脂肪・炭水化物)
Protein約10%
Fat約25~30%
CHO約60~65%

といった割合で炭水化物に比重の高い食事内容となっています。

カロリーバランスとしては6日間で3130kcalのプラス収支カロリーで
炭水化物 479g で 1915kcal
脂肪 140g で 1263kcal

の内訳になっています。

レース当日におけるレース前の摂取エネルギーが630kcal(炭水化物 119g)で、別な研究結果によって推奨されているフルマラソン前の炭水化物摂取量(200~300g)からみると不足していることがわかります。

これについては、レース開始が午前5時ということで朝食時間が午前3時と、やや時間的余裕がない朝食だったこともあり、十分なエネルギー摂取が行うことができなかったと推測とあります。

レース前日までの6日間にかけての食事はしっかりとカロリーを摂取できていましたが、当日のスタート前のカロリー摂取とスタートしてから35km地点までのカロリー補給が少ないレース前半において915kcalのエネルギー摂取にとどまっています。

体重60kgの男性が35km走ると、距離×体重の単純計算でざっと消費カロリーを考えても3015kcalで約2000kcalが35km地点において、すでにカロリー収支としてマイナスしていたこととなります。

実際にグラフでの血糖値も急降下しており、このことも後半の失速につながったのではないかと考えられます。

まとめ

もっと詳しく細かいデータまで見たい方は、URLから引用させていただいた研究を詳しくみていただければと思います。

リンク先のグラフや研究のまとめ部分にもありますが、レース中の補給によって血糖値が変動することが観察されました。

また、血糖値の低下に伴いレースペースの低下も観察され、補給を継続したことで最終的にラスト5kmでペースアップすることができたと考えることができます。

ただし、80km以降の血糖値データがないのでその部分については推測です。

血糖値とレースペースの低下の要因として、レース当日およびレース中の炭水化物摂取量が十分でなかったとまとめられています。

全体を通して、レースでパフォーマンスを落とさずに最後まで強い走りをするためには、エネルギーを枯渇させないようにする配慮と努力が必要だということがいえます。

また、レース前までの食事によるエネルギーの補給とレース中の補給の両方が重要だということもわかりました。

また、本研究において体水分の減少量においても約5%と、パフォーマンスが著しく低下する水準で体水分においてもマイナス収支になっていることから、炭水化物だけではなく、水分の摂取量も高い頻度で枯渇しないように摂取し続ける必要があるということになるのではないでしょうか。

もちろん、競技の長さによる変動や選手の個体差による違いもあるので、そのあたりはそれぞれのランナーの方のトレーニング段階による試行で最適解を見つけていただく必要があります。

各ブログランキングに参加しています
以下のバナーかリンクをクリックしていただけたらとても嬉しいです。

ブログランキング・にほんブログ村へ

にほんブログ村


人気ブログランキング

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Scroll to top